熊谷登久平アトリエ跡に住む専業主婦は大家の嫁で元戦記ライター

台東区谷中の洋画家熊谷登久平のアトリエ跡に住む次男に嫁いだ主婦の雑談

伊香保の春 熊谷登久平

 

(表紙のことば)
熊谷登久平
伊香保の春
花が終ると新緑が恋しくなる。
山ではうぐいすが鳴き、かつこうが鳴いている。 若葉に包まれた丘の上や森の陰で、小鳥のさえずりを聞きながら、絵筆をはこぶほど一年中でたのしいことはない。
伊香保は何度も行って、榛名から渋川あたりまでの山のかつこうや、森のかつこうにも明るくなつ
ている。
これは親しい友だちと伊香保に遊んだときの作品だ。
朝早く、白根山は暁の雲に包まれて、あい色に光っている。 目近には柿若葉が美しい。
耳近くうぐいすが鳴き、遠くではかっこうが鳴いている。
麦に穂が出るのも真近だ。
いつの日だったか、乗合いバスに乗ろうとするぼくに、「あら、しばらくでしたね・・・・・・」という女たちがいた。私は帰りのバスの中で、いったいどこで合った女だったろうかと思うのだった。
いつか全勝した遊戯場のダルマ落としの女だったかも知れない。

 

f:id:TokuheiKumagai:20230213175618p:image
f:id:TokuheiKumagai:20230213175615j:image
f:id:TokuheiKumagai:20230213175610p:image

f:id:TokuheiKumagai:20230213175714j:image
f:id:TokuheiKumagai:20230213175717j:image
f:id:TokuheiKumagai:20230213175720j:image