熊谷登久平アトリエ跡に住む専業主婦は大家の嫁で元戦記ライター

台東区谷中の洋画家熊谷登久平のアトリエ跡に住む次男に嫁いだ主婦の雑談

美術倶楽部海外旅行部の広告など、昭和39年1月発行 美術家名鑑

義父は昭和38年のパリ祭の頃に2カ月ほどオランダ航空が企画したらしい美術家用のツアーで渡欧をしたが、その資料が探せない。

『ねんきん 表紙のことばより。
ムーラン・ルーデュ 熊谷登久平
カトルルゥゼ、巴里祭の日が来た。 フランスの三色旗が、三本づつくまれて家の門口に飾れてゐる。
四時半起床、タクシーを拾ひモンマルトルのムーラン・ルーヂュに。
巴里祭の前夜祭の酔のさめない、若い男女が私が描きだした街角に、爆竹をたきつけてさわいでいる。
(私は)今朝も仕事を終ったのだ。
ノルマンデ・ホテル六一○号室の鏡のうへに、描きあげた絵をあげて、ベットの横になった。遠くで花火があがり、飛行機の編隊が、窓近くとびすぎる。
シャンゼリゼの通りを軍隊の行進がはじまるところだろう。
(私は)午后には、アムステルダムにとぶのだ。
そして巴里ともお別れだ。』


参考までに谷中清水町の美術評論家で美術年鑑を出していた清水家が発行していた美術家年鑑の広告を眺めている。
清水家の方に話をお聞きした時に、谷中清水町の土地は美術に理解があった大河内家から譲られたという。
また太平洋美術会も初期は谷中清水町で、大河内子爵の御子息たちは太平洋美術研究所で絵を学んでいたからかなと思ったりもしている。
確証はない。

『64年は海外旅行へ
世界中お望みの国々へ御出かけになって、素晴しい御旅行をお楽しみ下さい。
世界一周(欧米等一巡)………47日間 100万円 60日間 125万円
欧州一周………25日間 75万円32日間85万円
アメリカー周………20日間70万円 30日間83万円
ソ連チェコ、欧州一周………30日間 80万円 34日間 95万円
5日間 30万円 7日間35万円
東南アジア………15日間 30万円
香港・マカオ………7日間18万円
沖縄旅行………5日間 7万5千円
御希望のコースを申添えて御申込み下さい。案内書を差上げます。
東京都台東区谷中清水町3
美術倶楽部海外旅行部

電話 (821) 3990』

『海外美術視察団募集
ー処女コースー
空路ジェット機にて米国アラスカルコペンハーゲン経由、世界一周。
ソ連並びにチェコ等、モスコウ、レニングラードキエフワルシャワプラハブダペスト、ウィーン、チューリッヒ,ロンドン、パリ、ローマ、アテネ、カイロ、香港等を経て東京羽田帰朝。

30日間80万円、34日間95万円。共産国渡航後も米国旅行は自由になりました。
ソ連及びチェコ共産国の美術品は個人所有が認められていませんので、国有の為古代より現代迄の芸術品は、美術館及び宮殿等に集められておりますので、短時日に鑑賞出来ます。
詳細は案内書を御覧下さい。
満員にならぬ内お早く御申込み願います。
料金振込に便法有り。御相談に応じます。

国際美術観光協会々長
ジャパニーズアートセンター顧問
日英協会々員
清水澄』

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