熊谷登久平が坂口安吾の挿絵を描いていた話をしても、結構信じてもらえない。
熊谷登久平は挿絵や装丁もやっていたし、戦前はトクホンと契約をして広告の絵は登久平。
画家やってたからそれぐらい当たり前だという人も実際いたが、挿絵をレギュラーでもらえる人は出版社や受勲のパーティー会場ならともかく、コミケ会場も除いて、人口比だと多くはないと私は思う。
私の友人にも挿絵を描いていた人は少なくないが、彼女らのそれまでの努力は大層なものだった。
その業界人の端っこにいた私は熊谷登久平は偉いと思う。
熊谷登久平が坂口安吾の挿絵を描いていたので確認できたのは、「サロン 第2巻第8号(昭和22年9月)」で、現本は九段下の昭和館で確認した。
熊谷登久平が戦前に林房雄や川端康成と交流があったのは確かなことで、林房雄に関しては古代ローマの壺を借りパクされたと言っても良い状態だ。