熊谷登久平アトリエ跡に住む専業主婦は大家の嫁で元戦記ライター

台東区谷中の洋画家熊谷登久平のアトリエ跡に住む次男に嫁いだ主婦の雑談

鰻 ブラックジャック展

結構生活が大変になってきていた前姓時代。

母と娘が鰻好きで、私も鰻は好きでスーパーで安い鰻(安いのがさらに値引されてると嬉しい)を買って一口に切り、油を引いたフライパンで日本酒で蒸すように焼いて白醤油に味醂で味付けした溶き卵を流し込んで卵がある程度かたくなつたら(ベランダで育てていた)三つ葉を散らして丼にして親子4人で食べていた。

娘は結構好きで、職場から廃品の鰻を持ち帰りリクエストをすることもあった。

(あの頃は息子や娘がバイト先で処分品の食品を持ち帰ることも多くて助かっていた)

 

母が亡くなり、不思議な縁で今夫と友人になった時に出前で鰻を取ってくれてビックリした。仕事先で取ってもらえることはあったけど個人宅では初めて鰻の出前を食べた。

 

その後、私の娘や息子にもその美味しい鰻を彼はご馳走して懐柔して堀を埋めて今私は熊谷さんだ。

 

その美味しい鰻屋さんは熊谷家の菩提寺の玉林寺の隣にあり、義父の熊谷登久平は永田町で用事があっても永田町の人を誘い食べさせたという。それが丸井。今は鰻屋をやめてしまい、あの鰻のはもう食べられない。食い道楽な義父が好きな鰻屋は故郷の千厩にあった店と谷中の丸井だった。

その食い道楽な義父が溺愛した夫も食い道楽だが、病気をしてから出不精になり、私にテイクアウトを頼むようになった。

 

 

出逢った頃の夫は、「丸井」の鰻、「魚て津」の寿司、「慶喜」のカツ丼などで私を餌付けし、わかりにくいプロポーズを繰り返していた。

 

で、今は熊谷家の嫁をやっている。あの餌付けに使われた店たちはもうない。美味しい町中華の砺波もない。時の流れは容赦ない。

 

先日、近所のスーパーで鰻の長焼きが値引きされていて、再婚してから初めて鰻の卵とじを食卓に出したら生まれて初めて食べた夫が喜んだ。

今、婿入り先のリフォームで我が家で寝泊まりしている息子は鰻の卵とじを懐かしんでいた。

これ、明石時代は今はなき大善の焼き穴子で作っていたなと、ふと思い出して色々切なくもなった。実は私、明石では鰻の蒲焼を食べたことがない。それが切ないのではなく、もう会えない人たちと食べた鰻が走馬灯となった。死ぬのか私。

 

小牧では祖母が鰻好きで、小牧城が見える旧街道沿いの鰻屋さんにたまに連れて行ってもらった。また、犬山の叔父が鰻を捌ける人で木曽川の鰻を食べさせてもらった。

味美という駅近くの水路の上の藤が綺麗な川魚屋で食べたのは誰の法事だったのだろうか。幼すぎて覚えてない。

 

息子を授かった時は母と南千住の尾花で鰻重を食べた。

母が鰻好きだったから、つか母の家族が鰻好きだったんだなと。母の認知症が進み私が仕事を減らし経済的に逼迫してからは赤羽の「まるます屋」の鰻すら食べに連れて行けなくなったなぁ。

卵とじの鰻丼でも喜んでくれたけど。

 

午後、晩御飯の支度をして六本木のブラックジャック展へ。

懐かしむ。

 

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