在廊 島村直子 熊谷明子 取材あり
熊谷登久平《ねこ・じゅうたん・かがみ・裸婦》油彩キャンバス
昭和34年(1959) 57歳
「熊谷さんが、新しい表現体を打ち出してから、今年は四年目というものだろうか。その表見体は、格別きびしいものでも、敢えて強いものでもなく、実に素朴なという方が適切だろうし、またそこに、熊谷さんがあるというものだろう。」(昭和38年2月1日の月刊美術クラブ)
昭和34年登久平は次男の寿郎を授かる。57歳の彼は長く共に過ごせないだろう次男を甘やかす宣言をし、砂糖子と呼んだ。そして表現が変化した。(熊谷明子)
昭和34年、当時の男性の平均寿命は65.21歳。
登久平は次男の寿郎が成長するまで生きられないだろうと、幼子に受けそうな絵も描き残し始めた。
この作品がまさにそれ。
子どもが好むと言われていた赤色を使い、柔らかく表現した。
画家としての自分を寿郎に覚えていて欲しいとの思いがある。
↓下谷警察署所蔵、熊谷登久平『サワラ砂漠』