熊谷登久平アトリエ跡に住む専業主婦は大家の嫁で元戦記ライター

台東区谷中の洋画家熊谷登久平のアトリエ跡に住む次男に嫁いだ主婦の雑談

時代ってものがある。 新吉原とか遊郭とか役者とか

今日は風が強く空が青かった。

 

大正12年夏の終わり浅草生まれの義母。

彼女は関東大震災で何もかも失った実家の為に4回売られてる。
赤子なので実子のいない家に売られ、そこが子宝を得て金つけて返され、2回目に売られた先でも子宝に恵まれ金付きで返され、縁起が良いと欲しがる家が次々と彼女を望んだ。

その金で彼女の実父は独立して深川で石屋を始められるまで立て直った。

 

今の人権意識では語れない親孝行だ。

 

最後に家に帰った時に、彼女はもう売られるのは嫌だと実母に願い、当時の女性としては高身長な160センチの身長を生かして浅草の女剣劇に男役として入った。

 

その後、劇団と一緒に中国の北京に移動、天安門広場でラジオ体操をしていたとか。慰問公演に軍のトラックで移動中に襲撃され役者仲間と兵隊さんが犠牲となり、本人曰く兵隊さんの銃で応戦したとか。(夫曰く義母は射的がうまく、教わった義兄はライフルが趣味になったとか)

その間実家は東京大空襲で焼け、そのニュースは北京にも届き、実家に手紙を出しても返事がこなくなった。

下町は全滅したとの噂もあり、でも義母は関東大震災を生き延びた家族の無事を祈りつつ諦めもあり、終戦後しばらくして復員船の順番が来た時に家族が待っていると頼み込んできた人に権利を譲った。その船は機雷で沈み、死者の名前に義母の名があったそうだ。(これ調べたいけど今は元厚生省に窓口がなく、国会図書館に資料が移ってて…)

 

 

その後、義母はLST-59で帰国したと語っていたそうだ。

引き揚げ後、東京の下町で家族を探すも行方はわからず。
景気が良かった山形市に行き芸者をやり、山形新聞の服部社長のお気に入りとなり世話になる。

 

その山形で熊谷登久平と服部社長を介して知り合う。登久平は「服部社長は妻帯者、自分は独身だ」と口説いたと彼女は語る。

 

(服部天皇の自伝的書籍『言論六十年の軌跡』 に義母と義父の熊谷登久平が出会ったエピソードが書かれているが、自分の彼女のひとりだったとは書いておらず)

 

東京に帰れば空襲で行方不明の家族が探せると登久平と共に一緒に帰京した。

谷中の熊谷登久平の屋敷には数人の女性が住んでいた。

義母は妻妾同居の火宅の人となった。

 

当時の上野界隈には探し人を助ける人(有料)もいて義母は弟と再会し、家族が被災後山梨の親戚を頼って住んでいたと知る。

 

 

で、その後義兄と夫が生まれたわけです。

 

もしも、関東大震災の時に彼女が自分の身の回りのことをやれる年齢だったら新吉原に売られていたかもしれない。

また、戦前の劇団にいた女性であれば接待もやる。

北京にいた頃、可愛がってくれていた将校がいた。彼からはチャコと呼ばれていたそうだ。

 

女剣劇時代の義母

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↓山形で芸者をしていた義母。

舞、長唄、三味線の師範代だったと夫はいう。

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↓ラブちゃんのお母さん。
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↓谷中のヒマラヤ杉のみかどパンさん辺りで人気のラブちゃんは警戒心が強いが、毎日のご飯は我が家に食べにくるようになっている。
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