熊谷登久平アトリエ跡に住む専業主婦は大家の嫁で元戦記ライター

台東区谷中の洋画家熊谷登久平のアトリエ跡に住む次男に嫁いだ主婦の雑談

タクシーと戦犯とモンテンルパのあの人の

夫を連れて娘が調べてくれた整形外科にタクシーで向かう。
根岸の元祖絹豆腐、江戸時代に寛永寺にくだってきた宮様が京から連れてきた笹乃雪さんは去年から休業され、移転されるとのこと。
その店舗があった場所が更地になっており、夫と嘆いた。

その少し先にある整形外科で検査を受けて、結構骨が辛いよね状態なのを再確認し、今までは痛み止めだけ処方されていたが、状態に合う処方がされた。
二週間様子見となる。

帰り安いスーパーに寄り、タクシーを探すもなかなか来ない。

やっと来たタクシーに乗り、タクシーが減った話をすると彼方此方のタクシー会社が潰れていて、城東地区であと二件も廃業するとのこと。
驚いたのはチェッカーさんも今はもうないとのことで、運転手さんもコロナ禍で廃業したタクシー会社から今のところだそうだ。

私が失礼な言い方だけど、「昔は仕事先がなくなった人がタクシー会社で二種免許を取らせてもらって働くってのが多かったし、家も買えてたのに」と、話すと運転手さんも昔そうやってタクシー会社に来たのだとのこと。
前のオリンピックの頃に地方から上京してタクシー運転手になった人も多かったと。
その雑談の中で、昔は戦犯とされた人にタクシー免許を与えて社会復帰の救済してたことがあるとか話したら、「私の大叔父はモンテンルパで処刑されたんですよ。海軍の主計で本人は事務方だから大丈夫だと信じていたそうですよ。たまにテレビに顔が出ることもあります」

って、それ該当するの一人しかいないし、奥様苦労されたよね。

「もう大叔母も亡くなりましたが、講和条約後は金が出たようですよ」

その講和条約までの戦犯の妻の生活は物凄く大変だったはずで、マスコミに酷いこと書かれてましたよねお気の毒な。
旦那さんご存命であればエリートとして良い職につけただろうし、遺族年金より稼いだと思うのよ。

「優秀な人だったそうです」

モンテンルパで吊るされた唯一の海軍さんの遺伝子を持っているタクシー運転手さんと話す不思議。


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