戦前戦後の歴史好きなら結構お世話になった日記を残している知日派で親日派のように語る二枚舌と言われるロベール・ギランによる熊谷登久平の評論。
我が夫である熊谷寿郎の母校上野中学の向かいにある文化財研究所の予約がやっととれて、全文を読めた。デジタル化されていて探して読むのに目が疲れたよ。
その甲斐あったよ。
まじ、オトーサン凄いよ、フランス人の、あのロベールさんが絶賛しているよ。
新宿の厚生年金会館に展示されていた「月の暈」、あれは良い絵だったから私も印象に残っているよ。褒められて当然だよ。
厚生年金会館取り壊された後は行方不明になっているよう。
悲しいよ。
あれはオトーサンも気に入っていてカラーの絵葉書にしたぐらいなのに残念だよ。
以下
みづゑ 第426号 昭和15年5月発行
p621〜p623より抜粋
ロベール・ギラン 第十回独立美術展覧会評
第十三室……
……又小川マリ子も大陸を材料にとり、女性らしく美しい感愛を力強く創造した。最後の室に近くなつても、吾々は決して、急いではならない。
その第十四室に於て、私はこの會に於て、めづらしい快さと驚ろき満ちた歌を聞いた事である。それは熊谷登久平の、半音楽的な佳作の論文である。彼は單に、畫家としてでばかりでなく、同時に詩人であるとも言へる。畫面から音律を聞く事が出來る。「月の裏」より受けるローマンチズム「砂」より受ける不思さ、「旅愁」より受ける悲歌など、彼の作品の原始的な、又新らしい感覚が、生み出す或種の感情は、彼の作品がこの展覧會の一方向を示して居る様にも思へる。赤色の光線と、肉感的な「月の暈」や「旅愁」は神秘な、同一の告白をして居る様である。彼はこの近代二十世紀の、むつかしさと、現代の騒々しさに拘泥せず、感傷的な詩人であり、又彼自らが、さうである事を臆面もなく発揮して居る事である。(終)
以上引用終わり。
池之端画廊さんで、ロバート・クラウダー展を鑑賞。
戦前にあの熊本の五高で英語教師をしてらした方。つまり夏目漱石や小泉八雲が英語教師をやった学校でよ。
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