熊谷登久平アトリエ跡に住む専業主婦は大家の嫁で元戦記ライター

台東区谷中の洋画家熊谷登久平のアトリエ跡に住む次男に嫁いだ主婦の雑談

長谷川利行の『足くむ裸婦』ヤフオク 

『【LIG】真作保証 長谷川利行 「足くむ裸婦」 油彩0号 裏書有り 資産家収蔵品 [.QYT]10櫻』

2020年11月9日に285000円で落札された。長谷川利行とのサインもある絵画。
長谷川利行のものだとしたら、格安で落札されたと私は思う。
出品者による長谷川利行の年譜、先日も書いたが利行に渡仏歴があると書かれている。ないです。没年も違う。


さて、数年前に府中市美術館などで開催された長谷川利行展の図録に、ほぼ同じ構図の『足を組む裸婦』がある。
色使いも似ている。
図録の中の足を組む裸婦の女性の目は強くこちらを見てくる。
目が強い。

そういえば父の死後に我が家から消えた絵は沢山ある。貸してくれや、先生と約束していたなど呆然として判断力を失くしている義母が、言われるままに渡して相手から名刺も受け取らずそのままになった。
その中に長谷川利行が描いた熊谷登久平がある。それは巡り巡って日本橋の画廊で売られたが最初の買主は信州の長谷川利行収集家だったが目が強すぎると返してきたそうだ。
これは名古屋の松坂屋で展示された以降を探していた私が画廊をまわって得た証言だが、その後絵はまた売られて、その後はわからない。
画廊の主人の話では赤い絵だったそうだ。
長谷川利行の人物画は目が視点があるものが多い。何を見ているのかはそれぞれだが、熊谷登久平は親友の長谷川利行を見つめていたのだろう。

私の誕生日であった11月9日に落札された『足くむ裸婦』入手した人は鑑定に出すのだろうか。
足を組む裸婦と同じポーズだから同日に描いた本物なのか、私にはわからない。

で、熊谷登久平の真作もヤフオクに出ていたが、アイホンより安いが私の原稿料収入では落札できなかった。
犬吠埼』は戦後の作品で義父の死後しばらくたってから欲しいという方がいらして手放したと次男である夫。
ここ数年熊谷登久平の絵は投売り価格で数千円から売られていたのに(T ^ T)
犬吠埼欲しかった。

犬吠埼東京大空襲などで飛来した米軍の爆撃機B-29の脱出経路にある。東京や横浜を爆撃したB-29は太平洋に向かった。

江戸東京博物館に展示されている墜落したB-29のテールガンは私の調査の成果物だ。この機は帝都防空の陸軍のエースパイロットの小林照彦氏との一騎討ちでエンジンを撃ち抜かれ、太平洋を目指して辿り着けなかった。その機体の機長で編隊長でもあったゴールドワジィ氏と犬吠埼から太平洋を眺めたことがある。もう20年以上昔の話で当時取材した関係者はかなり亡くなられた。
皆で犬吠埼を歩いた。
義父の絵の犬吠埼欲しかった。


しかし、熊谷登久平は『美術の窓』の『美術界データブック』の物故画家にも名が載らない忘れられた画家よ。誰が落札したのだろ。転売目的じゃなくて好きだから落札したなら嬉しいのだけど。
今義父のファンはうちが知る範囲だと京都の宇治にひとり残るだけだ。

あ、美術界データブック、全国の美術館の項目に岩手県千厩の『熊谷美術館』も載ってない。悲しい。

http://www.sakenokura.com/Strollspot103.html

(T ^ T)


ここに何回も書いているが熊谷登久平は忘れられた画家で、出身旧制中学がある一関市が出した図録では低評価の晩年と書かれている。

三越本店の広い部屋使って個展を毎年やって展示会前にほぼ売れていたんだけどね。
戦後、熊谷登久平は独立美術協会などの展覧会用の絵と個展用の絵を描き分けている。

展覧会用は熊谷登久平の自己表現の発揮であり、また自分の絵を描くこと求めた作品。
台東区下谷警察署のロビーに飾られている『サワラ砂漠』は熊谷登久平が求めるものであったと私は思っている。

展覧会用の求道の絵を登久平は売らない。
戦前も戦後も欲しいと言われたら差し上げていた。売り買いが嫌いなのは長谷川利行の死も影響しているし、義父の師の里見勝蔵先生も絵を売るのを嫌ったと直接会っていた学芸員の先生に聞き、その影響もあるのだろうと私は思う。
長谷川利行は義父にとって友であり絵と短歌よ師匠でもあった。
里見勝蔵先生を慕い、独立美術協会で反里見派が発生し彼らが会合を開いていた上野の蕎麦屋の二階に里見派たちと飛び込んで乱闘をしたと伝わる熊谷登久平だから、里見先生の影響は大きかろう。


売らず差し上げた絵、描いた時のエピソードを戦前にマスコミに書き、戦後も家族に語っていた気仙沼の漁船の絵は気仙沼の人に求められて差し上げて、巡り巡り気仙沼図書館の倉庫にある。

が、仙台の鉱山を管理する国の施設の局長に求められて差し上げた鹿児島県の大島の絵は、局長が仙台空襲から守ってくださったのに戦後行方不明になっている。

あと義母が怪しい教会関係者を名乗る謎の人にあげてしまったキリストの大作も行方不明になっており残念だ。
(T ^ T)
私、絵画の専門家ではないです。あくまで個人の感想です。
(T ^ T)

下の方に図録の『足を組む裸婦』の写真ものせておきます。



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以下一昨年の長谷川利行展の図録より。

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以下、昔の長谷川利行展の図録より。
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以下、義父が画家仲間と一緒に遊んだエッチな絵とか。
渡航先では春画を沢山描いてたようだ。

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https://www.tomosha.com/smp/book/b493263.html