私は2013年にNHKで放映されたドラマの「ごちそうさん」が好きで夢中になって見ていた。
大正時代の本郷のフランス料理店(後に洋食屋になる)の娘の幼少期から思春期と恋と料理する喜びに目覚めるまで。
結婚し大阪で嫁として暮らす日々。
東京と大阪の味の違い。
関東大震災の報。
東京を焼け出されて大阪にまできた被災者。
炊き出し。
出産と育児。
這い寄ってくる統制と不自由と、長男が出場予定だった中学生野球大会の甲子園中止。
開戦。
子どもたちの青春。
次男の志願。
大学生の長男と親友の出征と、娘の恋。
娘の出産と空襲。
という流れだったけど、甲子園球児だった息子とその親友の仲良しさんぶりを見るのが好きだったという長女。
戦地に向かう兄の親友の子が産みたいと押しかける話は、自分は戦死するかも知れないからと親友が結婚を断り、それをというシーンは面白くもあり悲しくもあり。
ストーリー全部好きです。
この作品を縁に主演女優さんの杏さんと、東出昌大が結婚をしてお似合いだなと思ってました。
とかもあるけど、心に引っかかっていた戦後の甲子園。第一回は西宮球場でした。
食べ物がない時代で球児たちは芋粥を食べて戦ったと聞いていますが、その中に白米を食べていた旧制中学がありました。
なんとなく良い話として覚えていたが、最近「ごちそうさん」という固有名詞がテレビから良く流れてくるものだから調べたら、熊谷登久平の母校の旧制一関中学の話でした。
大正時代に野球の強豪だった一関中学は昭和10年代にまた花開き甲子園への切符を手に入れましたが、それが昭和16年、ごちそうさんの長男が出場する予定であり中止となった大会。
「及川和男著 甲子園への遠い道/北上書房」
一関中学の球児たちやライバルたちは戦死した者もいて、敗戦を迎え、後輩たちへのバックアップとなり、一関中学が全国野球大会への切符を得た時、金と米を集めます。
今と違い金は集まっても米は統制されているので、実家が農家であっても集めたり持ち出したらヤミ米になる。
【中略】
一関中学は鹿児島の中学に負けた。
彼らは芋粥を食べていた。
彼らに秘密だと言って白米を渡して岩手に帰った。
それが世に出たのは昭和40年代だった。
多分岩手県の伊達藩地域の人たちには知られていることだと思うけど、私は詳しくないので本を取り寄せて読んだら面白かった。
ごちそうさんのお二人の騒動は残念だけど、戦後の甲子園復活が物語の中に織り込まれていたのを思い出して、この本を読んだのは良かったと思う。